医療事故と医療過誤の違いとは?
「医療事故」と「医療過誤」という言葉はどちらも、医療現場で予期せぬ出来事が発生し、患者に不利益が生じた場合に用いられることがあります。
しかし、両概念には法的な違いがあります。
今回は、医療事故と医療過誤の違いについて考えていきます。
医療事故とは?
医療事故とは、広く医療の提供過程で等者に発生した人身事故をいいます。
それゆえ、医療従事者に過失がなかった場合や、看護師が薬品を誤って吸引し、体調を崩すなど医療行為とは直接関係しない行為も含みます。
具体的には、以下のようなケースが医療事故に該当し得ます。
- 手術中に予期せぬ患者の急変やアレルギー反応が発生した場合
- 医療機器の予期せぬ不具合によって患者に影響が出た場合
- 病院内の転倒など医療行為とは直接関連しないが医療機関の管理下で発生した場合
また、予期せぬ死亡または死産という特定の医療事故について、再発防止策のための原因究明や分析のために、医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関が収集・分析する「医療事故調査制度」があります。
医療過誤とは?
医療過誤とは、医療事故の中でも、医療従事者や医療機関の不適切な医療行為や注意義務違反などの過失によって患者に損害が生じた場合をいいます。
医療事故と異なり医療従事者に過失が要求される点や、医療行為とは直接関係しない行為は含まない点で医療事故とは異なります。
医療過誤を理由とした損害賠償が認められるためには、以下の4つの要件が必要となります。
患者の生命・身体・健康に関する権利(又は法律上保護される利益)が侵害されたこと
患者側の生命・身体・健康が害されたといえるのであれば、通常この要件は満たすことになります。
医療従事者や医療機関に注意義務違反(過失)があったこと
医師や看護師などの医療従事者はそれぞれ専門家として危険防止のために必要とされる最善の注意義務を負っています。
この注意義務の基準は診療当時の臨床医学の実践による医療水準であるとされており、学問上高度な注意義務が要求できたとしてもその場合は過失は認められないことになります。
患者に損害が発生したこと
患者側の生命・身体・健康が害されたといえるのであれば、通常この要件は満たすことになります。
具体的には、治療費や入院費、逸失利益、慰謝料などが損害の費目となります。
注意義務違反と損害との間に因果関係があること
患者側は、医療過誤がなければ、生存し得た(または後遺症が残らなかった)ことを、高度な確実性をもって証明する必要があります。
まとめ
医療事故と医療過誤の違いを理解することは、医療に関するトラブルに直面した際に、感情的にならず冷静に状況を判断し、適切な対応をとるために不可欠です。
もし医療過誤の可能性が疑われる場合は、ひとりで悩まず、医療記録の収集や弁護士などの専門家への相談を検討しましょう。