医療過誤の時効は何年?
医療過誤を理由に、患者やその家族が損害賠償請求をできる場合であっても、医療過誤における損害賠償請求には時効が定められており、期間を過ぎてしまうと原則として請求権が消滅してしまうため注意が必要です。
ここでは、医療過誤の基本的な知識と、時効について考えていきます。
医療過誤とは?
医療過誤とは、医療従事者(医師、看護師など)が、医療を行う上で当然守るべき注意義務を怠り、その結果として患者に損害を与えてしまうことを指します。
医療過誤は、民事上の損害賠償請求によって責任追及を行うことが可能です。
損害賠償請求の根拠としては、契約に基づく債務不履行(民法415条)または不法行為(民法709条)があります。
医療過誤の時効は?
医療過誤の責任追及を、債務不履行に基づく損害賠償請求で行う場合と、不法行為に基づく損害賠償請求のどちらの法律構成で行うかによって、法文に若干の違いがあります。
債務不履行構成 | 不法行為構成 |
|---|---|
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき(民法167条) | 損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき(民法724条の2) |
権利を行使することができる時から20年間行使しないとき(民法166条1項) | 不法行為の時(医療事故が発生した時点)から20年間行使しないとき(民法724条2号) |
「債権者が権利を行使することができることを知った時」(民法167条)および「損害および加害者を知った時」(民法724条の2)とは、診療記録などから医療過誤であるとして医療機関側への法的責任追及の可能性を具体的に認識した時点をいいます。
自分が怪我をしていることの認識よりも起算点が遅い点は、患者側に有利に働きます。
時効を中断・止める方法は?
時効期間の経過が迫っている場合でも、時効の完成を阻止(時効の完成猶予)したり、時効期間をリセット(更新)したりする方法があります。
時効の完成猶予の効果が生じる行為としては、医療機関に対して損害賠償請求の意思表示を内容証明郵便で行ったり、患者との間で、損害賠償に関する協議を行う旨の合意を書面で行ったりすることが挙げられます。
時効の更新の効果が生じる行為としては、調停や訴訟の提起や医療機関側が自身に損害賠償責任という債務があることを承認した場合が挙げられます。
まとめ
医療過誤に対して責任追及をするためには、専門的な知識が必要となる場面も多く、加えてカルテなどの証拠収集にも時間がかかることもしばしばあります。
もし医療過誤の可能性があり、時効が気になる場合は、できるだけ早く医療問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。